FFFES (For, Feel, Find, Endangered Species) / No.005
【ニホンノ絶滅危惧種】
Endangered Species in Japan / No.005

地球の自然環境に少しでも
興味を持つきっかけにして欲しい。
ザ·ノース·フェイス パープルレーベルの
ものづくりの根底には、
いつもそんな思いを込めています。
2023年に始動した
「FFFES」プロジェクトもその一環。
“For, Feel, Find, Endangered Species”の
頭文字から命名した「FFFES」は、
Endangered Species=絶滅危惧種について
知り、自然環境に思いを馳せ、
なにかを感じてもらうための取り組みです。
5回目となるFFFESシリーズでは、幻の野草と言われるムラサキ(紫草)を取り上げます。
古代から貴重な紫色の染料や薬の材料として大切にされ、万葉集など文学作品に数多く登場し、
日本の伝統文化を象徴する植物として格別な扱いを受けてきた植物も、気候変動や森林破壊の影響で絶滅の危機に瀕しています。
ムラサキを描くのは、ユニークなタッチで
数々の看板やサインペイントを手掛ける
アーティストの上堀内浩平さん。
彼の代名詞である古典書体「ひげ文字」を取り入れながら、ムラサキの素朴な白い花と、
紫色の染料が取れる根をモチーフにそれぞれ
アートワークを作って頂きました。
生成りのカラーパレットをベースにしながら、
今シーズンは新たに
ロングスリーブのTシャツが登場。
Tシャツ、トートとヴィンテージモチーフの
バンダナを加えた全4型のラインアップで
リリースします。
売上の一部は、日本の絶滅危惧種の保全に取り組む公益財団法人日本自然保護協会に寄付します。
ムラサキ
Murasaki
分類:種子植物ムラサキ科ムラサキ属
学名:Lithospermum erythrorhizon Siebold et Zucc.
レッドリストカテゴリー:絶滅危惧IB類(EN)
ムラサキ科の多年草で、直生し、円柱形でやや湾曲、通常分枝する。丘陵地の草地などに生える。
茎は高さ40~70cmで直立し、全体的に粗い毛が生えている。葉には柄がなく、長さは3~7cm、同様に粗い毛が見られる。5月中旬から8月にかけて、小さな白い花を咲かせる。
根は鮮やかな紫色で、シコニンという色素を含み、かつては紫色の染料として使われていた。シコンという生薬としても利用され、栽培もされていた。こうした由来もあり紫根、紫草と表記される。
古今集にも歌われたり、古文書にも記載があり、かつては北海道から九州まで、日本全土の日当たりのよい草地に分布していたが、現在では非常に数を減らし、野生で見つけることがとても困難な花となっている。また、外来種のセイヨウムラサキとの交雑も危惧されている。

Crisis Situation
生息数減少の要因

人による盗掘や過剰な採取

自生地の都市化、宅地化、
ゴルフ場開発

草原の管理不足による森林化
(ほったらかし)
Seasonal Artist
上堀内浩平

ちいさくて見逃しそうなムラサキの花。
人の目に触れなくてもずっと咲いている。

看板書きに用いられるスクリプト体でロゴを表現。

ムラサキの根(紫根)。
染料と生薬なる力は土の中に眠っている。

上堀内浩平
書体デザインを軸に、看板製作、書体設計、サインペイント、壁画など国内外で活動する。
2023年、21_21 DESIGN SIGHT「もじ イメージ Graphic 展」参加。
Comment from Artist
「自然環境の変容と共に失われつつある
『ムラサキ』をモチーフにした
グラフィックアートです。
この植物は都市開発や生息地の消失により、
日本においては絶滅危惧種に指定されています。
かつて人の手で採取され、漢方薬や染料として
伝統文化と強く結びつき
広く用いられてきた歴史があります。
あらゆる研究機関がこの植物種が途絶え
消滅してしまう事を憂い、生きた文化と共に
保全継続させようと活動されている事と思います。
しかしながらこれら自然保護や継続に纏わる
活動は普段の私たちの日常生活の中では
意識されにくいと感じています。
『ムラサキ』を視覚的なアートワークに昇華させ
(美術として消費する事も
自然の一部であると捉え)、
かつての役割と異なる形で
ムラサキの持つ魅力、
歴史文化や社会とのつながりを
広く知ってもらい、
それらが明らかになる一旦を担えればと考えています。」
人間と自然との関わりは何だろうかと考える時に頭をよぎることがあります。
朝起きて電車に揺られながら会社に向かう途中、都会の雑踏を歩いているとき、
ふと頭に浮かんでくるのです。
それは、すべてのものに平等に時間は流れていて、この瞬間も
人間だけでなく動植物も
同じ地球に生きているということ。
For, Feel, Find, Endangered Species
地球温暖化の影響で、
この瞬間も絶滅の危機に瀕している種が
たくさんいます。
このプロジェクトは小さな一歩かもしれませんが、
私たち一人ひとりが未来について考えるきっかけとなるプロジェクトです。
FFFES Collection 2025 Fall & Winter