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WOVEN WITH TIME. 時間を織り込んだセルビッチデニム

2026.09.14

セルビッチデニムは、旧式のシャトル織機でゆっくりと織り上げられ、生地端に施された、ほつれ止めの耳が特徴のデニムです。半世紀以上前から今もなお動き続けている織機で織られたこのデニムには、生産効率ではなく、積み上げられた技術を受け継いできたものづくりがあります。


nanamicaが制作しているオリジナルのセルビッチデニムも、そうした時間をかけたものづくりによって生まれています。今回は、ロープ染色を担うカイハラ株式会社と、セルビッチデニムを織り続ける岡本テキスタイルを訪ね、その生産背景をたどります。

はじまりは、一本の糸から。


目指したのは、天然素材のようなラフな表情を持ちながら、現代の素材だからこそ実現できる機能性を備えたデニムです。


その出発点となったのが、「コアヤーン*でムラ糸をつくれないか」という発想でした。リサイクルポリエステルを芯に、コットンで包んだコアヤーンをベースに、独自のムラ糸を開発。従来は相反すると考えられてきた、機能素材とムラ糸ならではの豊かな表情を、一つの糸で両立しました。このタテ糸に、ヴィンテージ感のある太番手のコットンネップ糸をヨコ糸として組み合わせることで、生地の表情を設計しています。こうして生まれた糸は、ロープ染色を経て、旧式のシャトル織機でゆっくりと織り上げられていきます。


*リサイクルポリエステル糸を芯に、その周りをコットン糸で覆うように巻き上げた多層構造の糸。nanamicaでは2019年より、定番素材としてシャツやチノパンツ、デニムなどに採用。

色は、時間を重ねて育つ。


世界でも有数のデニムメーカーとして知られる広島県のカイハラ株式会社は、長年ロープ染色の技術を磨き続けてきました。ロープ染色は、染液に浸し、空気に触れて酸化させる工程を何度も繰り返しながら、少しずつ色を重ねていく製法です。染液から引き上げられた糸は、一瞬緑色に見え、空気に触れるにつれて藍色へと変わっていきます。この工程を何度も重ねることで、深みのあるインディゴ糸が生まれます。

ジーンズには、ブランドや生地ごとに目指すインディゴの表情があります。その理想の色へ近づけるため、ロープ染色では染色と酸化を何度も繰り返しながら、少しずつ色を育てていきます。


印象的だったのは、色を数値だけで管理しているわけではないことでした。その日の気温や湿度、染液の状態を見極めながら、実際の色を確認し、微調整を重ねていきます。こうして染め上げられた一本の糸は、次の工程である「織り」へと受け継がれていきます。

ゆっくり織る理由。


岡山県井原市にある岡本テキスタイルは、半世紀以上にわたりセルビッチデニムを織り続けてきた機屋です。旧式のシャトル織機を修理しながら今も使い続け、ヴィンテージデニムのような豊かな表情から、現代的なテキスタイルまで幅広く生み出しています。nanamicaのオリジナルセルビッチデニムも、この工場で織られています。


セルビッチデニムの特徴として語られることの多い旧式のシャトル織機。しかし、岡本テキスタイルで印象的だったのは、「古い機械だから価値がある」という考え方ではありませんでした。最新の織機は、シャトル織機よりも何倍もの速度で均一な生地を効率よく織ることができます。それでもセルビッチでは、あえてゆっくりと織り続けます。 糸に余計なテンションをかけず、空気を含んだような自然な風合いを生み出すためです。

実際、機械の速度を上げることは可能だといいます。しかし、綿本来の表情を引き出すため、あえて速度を抑えて織り続けています。大切なのは機械の古さそのものではなく、その織り方によって生まれる生地の表情。効率ではなく、生地が目指す質感を優先する。その積み重ねが、セルビッチならではの表情を育てています。


しかし、そのものづくりを支える環境は決して当たり前ではありません。織機はすでに生産が終了し、壊れた部品は溶接しながら使い続けています。修理できる職人も年々減り、この技術を未来へ受け継ぐこと自体が、大きな課題になっています。それでも織り続けるのは、理想とする風合いを、これからもつくり続けるためです。そのためにはシャトル織機を未来に残していく必要があります。

こうして生まれた生地を使用したのが、nanamicaのセルビッチデニムです。

タテ糸には、リサイクルポリエステルを芯に、コットンで包んだコアヤーンのムラ糸を採用。ドライで快適な穿き心地を備えながら、天然素材のような豊かな表情を実現しています。さらに、ヨコ糸にはヴィンテージ感のある太番手のコットンネップ糸を組み合わせることで、機能性と佇まいを両立しています。セルビッチの耳に走るのは、nanamicaを象徴するブルー。ブランドの背景にある海を映すように、その色は生地の端にも織り込まれています。


ロープ染色、そして旧式のシャトル織機によるゆっくりとした製織。その積み重ねによって、穿き込むほどに表情を深める1本に仕上がりました。


受け継がれてきた技術は、過去を再現するためではなく、新しいデニムをつくるためにある。その考え方が、nanamicaのセルビッチデニムには織り込まれています。

Selvage Denim Pants [S25SC084] ¥46,200 tax included

Selvage Denim Pants [S25SC083] ¥33,000 tax included

Selvage Denim Straight Pants [S26FC076] ¥45,100 tax included

Selvage Denim Straight Pants [S26FC075] ¥31,900 tax included

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